西烔子『姉の結婚』一③

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piece.4「岩谷!うしろ!うしろ!」piece.5「アヤマリヲタダス」piece.6「Dr.真木の汚れた週末」

の後半三本は、一続きになっているお話です。ヨリと真木、そして理絵さん三人の糸が交差するお話です。

今回は一気に感想をいきましょう。

 

この時点で三人の関係性はある程度固定化されて見えてきています。

ヨリと真木。この二人の現在の関係性は、真木がヨリにつきまとい、ヨリは苦しみながらそれを拒否しようとしているという感じ。

そして真木と理絵。夫婦な二人ですが、夫婦仲は冷え切っている様子。お互い家で一緒にご飯も食べるし会話もある。だけど、理絵は不倫をしているし、真木もヨリをおっかけている。そしてさらにお互い、全くお互いのことに干渉していない。理絵に関しては、真木に人間的興味すらも持っていないように描かれています。

最後に、ヨリと理絵。

第一巻の後半の三話で、彼女たちがお互いの存在を感じはじめ、そして出会ってしまいます。そこから、三人のこの関係性が少し変化していく。

そんな話の流れだったように思います。

 

真木夫妻とヨリの共通の知人である「藤野先生」の記念パーティで三人は鉢合わせするのですが……。

理絵は、友人から夫である真木が自分に似た女性を追いかけていたことを知らされます。それを聞いても何の反応も示さない理絵ですが、気になってはいるようで、真木にキスをねだったり、少し思う所もあるようにみえます。

一方、ヨリの方はというと、妹のルイに真木と二人でいるところを見られ、「つきあっちゃいなよ」と背中を押されます。妻帯者かどうか気になるのなら、聞いてしまえばいい、いなかったらイケメンだしつきあっちゃえばいいと。そんなルイに、「きく理由はないわ」と返すのですが、どうやら聞きたい気持ちはある様子。うっすらと、彼女も真木が妻帯者であることに気づいているようです。

そしてトラブルメーカー真木ですが、びっくりするくらいキザで変態なアプローチの仕方でぐいぐいヨリに迫ります。もう図書館での業務妨害の勢いです。

 

真木はヨリに尋ねます。「こういう愛され方ははじめてですか」

「あなたはほどほどの愛しか知らない。あなたのために死んでもいいという男はこれまでいなかった。それはあなたが誰のことも死ぬほどに愛さなかったからだ。それはなぜか」

 

答はありません。

ただ、妻帯者であるにもかかわらず、ヨリに愛を述べる真木。それを「迷惑だ」と疑い、拒否しながら泣くヨリ。

この二人の不自然に保たれていた均衡が、ヨリと理絵の出会いによって変化していきます。

 

理絵はパーティで自分と同じ服を着た、自分と同じ顔をした女性に出会い、何か感情が変化したようです。パーティ後、真木との家には帰らず、実家に半月も帰ってしまいます。

真木はもちろん、理絵を迎えには行きません。奥さんがいないからか、なかなか不摂生な独身男性のような生活を忙殺されながら過ごしている様子。その頭のなかは仕事以外のときはヨリのことばかり……。

一方、そのヨリはパーティで出会った理絵が真木の妻であることを確信していました。愛だのなんだのは妻に求めろと、もう愛されたくないと涙します。彼女を苦しめているのは、真木からの不誠実な形の身代りの愛です。でも、どうやら真っ当に愛されたとしても、彼女は苦しいようです。真っ当な愛すらもいらないと首を横に振るヨリは、何だか見ていてさみしい気持ちになると同時に、複雑な気持にもなります。

 

今回の三話で印象的だったのは、真木の気持です。真木はどうやら、奥さんとのことは全く関係なく、純粋にヨリに「愛しています」と伝えています。でも、彼のスペックの高さに、ヨリだけでなく妹のルイも、何故あんな男がヨリに言い寄るのか……、どんな裏があるのかと疑っています。

条件で人を好きになるわけではない、というのが大人の恋になると一気に難しくなる気がします。ヨリもルイも、「真木誠のような高スペック男が岩谷ヨリのような地味な女を好きになるはずがない」という条件で愛情を推し量っています。一方、何の条件もなく初恋の相手を思いつづけている真木の純粋な愛情は作中では、唯一の純粋な愛です。でも、それは彼の妻帯者であるという立場故に、最も不道徳な愛情へとなってヨリを苦しめる結果となっています。この事実がなんだか悲しいと思うのは私だけでしょうか。

真木のようなきれいな愛情をもって人を想うことができるなんて、とっても素敵です。でも、そんな真木の恋を応援できないのもこの漫画の難しさ!

 

最後、ヨリは真木の勤める大学へと足を向けます。何かまた動くのか。次号が楽しみです!

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