諌山創『進撃の巨人』15 ②

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前回の続き。「外道の魂」とは。

 

アルミンが嘔吐している間、馬小屋のなかではリヴァイ班の面々が休憩中。

 

リヴァイ兵長が上半身裸で肩の手当をサシャから受けているサービスショットもあるんですが、もう画面に描かれている全員の顔が暗くてやばい。

 

サシャやコニーが暗い顔してると、やっぱりとても悲しいですね。

アルミンが人を殺した理由がここでわかります。ジャンが生きていました!ジャンが!

 

でもそんなジャンも気まずい表情。ジャンを守るために、アルミンは手を汚したんですもんね。

 

そのことについて、皆で話し合うシーンがとても印象的でした。

 

アルミンが人を殺して、その罪悪感に苦しんでいる姿に、誰も何も言えないでいたなか、リヴァイ兵長だけが、切り込んでいきます。

 

アルミンに、汚れた自分を受け入れろと。そしてその手を汚してくれたから、ジャンは助かったのだと。

アルミンにリヴァイが「ありがとう」というシーンはすごいと思いました。この日本の世の中で、どんな理由であれ、人殺しを人気キャラが「ありがとう」と感謝して肯定するなんて。危ういシーンだと思う反面、人を殺す、という場面の厳しさと必要性、そしてその苦しみをよりリアルに、そして誠実に描こうとされている気がしました。

 

やらなければやられていた。その圧倒的な現実に、コニーやジャンたち、リヴァイの暴力性に批判的であった班員も、リヴァイのやり方に同意します。極限状態の人同士の戦で、自分たちは間違っていたのだ、と。

 

それに対して、「そうだな」と彼らの甘さを指摘しながらも、リヴァイがジャンに言った言葉がすごかった。

 

ジャンが、「間違っていたのは自分でした。次は必ず撃ちます」といったあと、

 

「ただしそれはあの時あの場所においての話。何が本当に正しいかなんて俺は言ってない。そんなことはわからないからな……お前は本当に間違っていたのか?」

 

と。

 

これはとんでもない言葉だと思います。

 

主人公たちの正当性をひっくり返すような、このセリフ。そして、ジャンが「……え?」と驚きに言葉を失うシーンで終わるこの場面。

 

人気キャラであり、この場での指揮権をもつリヴァイにこう言わせる諌山先生の人間性に感服したシーンでした。

 

ああ、この漫画は娯楽でありながら、娯楽の域をこえて、人間を描いているな、とそう思ったものです。

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