諌山創『進撃の巨人』10 ⑤

201304130021

さて今日も40話「ユミル」の続きをば。。笑

なんやこれーという怒濤の展開。最近までこの回の意味も分からず、ユミルがすごい謎を握っているんだな、ということしかわからなかったのですが…。

 

88話まで読んだあとで見てみると、すごい心にグッとくるものがありました。ユミルの安否は最新話でも分かりませんが、生存は絶望的、というところですよね。彼女の過去も明らかになっていませんが…。

 

今回の彼女の独白で、その大まかな予想ができそうです。

 

「クリスタ…私もだ。自分なんて生まれてこなければ良かったと思ってた。ただ存在するだけで世界に憎まれたんだ。私は…大勢の人の幸せのために死んであげた。……でもその時に心から願ったことがある。もし生まれ変わることができたなら…今度は自分のためだけに生きたいと…そう…強く願った」

 

彼女の名前。彼女が名前に固執していたこと。そして、始祖の巨人「ユミル」と、エルディア人とマーレ人の長きに亘る抗争。それらと数話後で判明する無知性巨人としてのユミルの放浪時間がおおよそ60年あまりだという事実を組み合わせて考えるならば、彼女はフリッツ王がパラディ島の壁の中へ立てこもった後、大陸に取残されたエルディア人のレジスタンスを求める人々の子どもだったのではないでしょうか。

 

進撃の巨人に関する数々の考察のなかには、ユミルが「始祖の巨人ユミル」ではないか、とするものもありますが、私はそうは思えない。進撃の巨人に出てくる全ての登場人物が、歴史と戦いのなかで翻弄される小さな一個人としてしか描かれていないところを見ると、ユミルもまた、「始祖の巨人」という超越的なものではなく、むしろその女神性を担わされた、希望を託されたただの子供だったのではないでしょうか。そして「ユミル」と名付けられたものの、クルーガーの回想にもあったように、レジスタンスはマーレ側の取り締まりによって弾圧。そして「ユミル」としてマーレ側の畏怖の念を一挙に負っていた彼女は、子供ながらにその命を巨人化することで捧げさせられたのではないでしょうか。

 

彼女自身もまた、その「ユミルの呪い」に翻弄された一個人であると。そんな気がする。それにしても、「始祖ユミル」や「座標」はまだちょっと分かりませんよね。なんだかそこだけ未だ魔法的なんですけど。ん~~~。

 

しかし、今回感想を書くにあたってこの40話を改めて読み直して、ユミルがすごい好きになった。彼女は最後の登場シーンで、「女神様も悪くない」なんて笑いますが、本当に本当の女神はクリスタじゃなく、ユミルだったのかもしれない。そんな風に感じました。

 

無知性巨人として壁外を放浪していたのだから、彼女がマーレとエルディアの抗争に巻き込まれたのは疑いのない事実でしょう。でもそんな人間性の欠如したような地獄を経た後でも、こうして調査兵のナナバ達の死を見つめ、クリスタを守り、最終的にはベルトルトとライナーを助ける彼女の人間性はとっても豊かなものだというのが彼女の本質なのではないでしょうか。訓練兵時代の彼女のとっていた態度のように、本質から「我関せず」という人間だったのなら、きっと彼女はこんな選択はしなかったはず。

 

「自分のために」と第二の人生をかけた彼女は、「自分らしく」、「誰かのために」生きていたような気がしてなりません。

 

 

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ