諌山創『進撃の巨人』3 ⑤

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第13話「傷」

今回は駐屯兵団の精鋭班にメインスポットがあたった回でした。それと同時に、この世界の残酷さとそこで生き残るための選択の困難さが露呈された回でもあったと思います。

 

一方の壁に巨人を集めるだけの作戦。戦闘を避けて行なわれた作戦にも拘らず、二割の駐屯兵が失われました。

 

そのときのピクシス司令の言葉がすごい。

 

「失ったのではないぞ。兵は勝手に死んだわけではない。ワシの命により死なせたのじゃ。今こそ人類存亡の瀬戸際じゃ…。人類が生き長らえる為ならワシは――殺戮者と呼ばれよう」

 

きっと、この人も死に場所を「巨人との戦いのなか」でと決めているのかもしれませんね。少なくとも、今此の場所を死に場所とも考えているのかも。それにしても兵士を消耗品として扱うこの作戦の指揮について、その責任を負おうとする姿勢にとてつもない強靱な精神力と、優れた司令官としての資質を垣間見ます。

 

こんな人間が指揮を執るのならば、絶望のなかでも希望はあるだろうな…。しかし、今思えばこの人も、調査兵団の幹部も、みんな巨人がいなくなった平和な世の中で生きていくのは難しいたぐいの人間かもしれませんね。。。

 

そんなこんなでエレンゲリオン。暴走中。ミカサめがけて拳をふるって、最終的に自滅。そんなエレンに精鋭班は作戦続行不能の煙弾を打ち上げます。それを見た壁の上の駐屯兵も作戦の中止にうつろうとしますが、司令はそれも阻止。

 

「そう簡単に負けを認めることは許されんぞ。死んでくれた兵を無駄死ににせんためにワシらができることは……生ある限り足掻き通すことじゃ」と。そんな司令と同じく足掻くことを選んだのは、精鋭班のイアン班長。

 

リコやミタビが班員の安全を考えてエレンの放棄を訴えるのに対して、イアンはエレンは人類の希望であるから、回収してからの戦線離脱を提案。

 

リコが「出来損ないの人間兵器様」のためにさらに兵士を死なすのか、と反論すれば、イアンは肯定します。自分たちとは違って、彼の代役は存在しないのだと。

 

本来ならば誰も誰かの代役にはなり得ない。それはリコも言っていたように、この世界の誰もが感じている人間としての事実。それをイアンはこの時点で否定する命令を下します。彼のリコへの詰問が苦しい。

 

「では!どうやって!!人類は巨人に勝つというのだ!!リコ教えてくれ!!他にどうやったらこの状況を打開できるのか!!人間性を保ったまま!人を死なせずに!巨人の圧倒的な力に打ち勝つにはどうすればいいのか!!」

 

人間性を捨てて、そしてようやく戦いの場所に立つことができる。そんなイアンの選択。「人間性をも捨てる」というメッセージはこのあとも、エルヴィンやアルミンを中心に何度もこの作品のなかで出てくるものですね。

 

それにしてもイアンの選択はそのなかでもダントツで辛い。

 

「俺達が今やるべきことはこれしかないんだ。あのよく分からない人間兵器とやらのために命を投げ打って健気に尽くすことだ。悲惨だろ…?俺達人間に唯一できることなんてそんなもんんだ…。報われる保証の無い物のために…虫ケラのように死んでいくだろう」

 

イアンの選択に説得され、苦々しい表情で戦場へと戻るリコたち精鋭班。エレンに引き寄せられてくる巨人へと向かいます。ミカサもそれに続くなか、動かなくなってしまったエレンゲリオンの様子を見に来たアルミン。ミカサから状況を聞き、エレンの巨人のうなじに刃を突き立てます。

 

そこでエレンへと必死に声をかけるアルミン。でもエレンはその頃、平穏な日々の幻のなか。お母さんの仇を訴えるアルミンの声も届かない。そんなこんなで今回は終わり!次の4巻へと続く!

 

そして巻末に掲載された次回4巻の予告!!

 

「限られた土地の限られた食材で人類は肉料理に立ち向かう!!」

 

サシャが…。タマネギしななくなって、金持ちに「肉食わせろ」と刃物を向ける人民たち。サシャは最後の選択をする。

 

「こうなったら……盗むしかない……!!」

 

安定のサシャ。笑

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