同棲愛 / 水城せとな

51YEKBS3ajL

少し前に月9でドラマ化された「失恋ショコラティエ」の作者、水城せとなのかなり初期の連載作品ですね。最近でこそ「このBLがヤバい!2010」で俎上の鯉は二度跳ねる」が1位に選出されて以降、BLをはじめとして少女漫画や一般漫画でも一定の評価を得ている作者ですが、この作品はあまり多くの読者には支持されておらず、通常版の最終巻などは発行部数が極小だったのだとか。

まあ、それも当然かなとは思うのですが。だって、BL雑誌(当時はこの業界全体が模索中だった)に連載されていながら、女の子の出番が結構多いのですから。そして話が重いというか、当時主流になりつつあった”きれいな絵でかっこいい男の子同士がラブラブエッチ”というわかりやすい展開ではなかったので。

話は最終巻の表紙に描かれている5人の男の子たちの群像劇として進んでいきます。年頃なので彼らの日常で恋愛がかなりの比重を占めているのは確かだし5人とも男同士で体の関係を持つことはありますが、テーマはそこではないんですよね。

話はいつも、彼らの内面に向かいます。何故男を愛するのかというより、何故他人を欲するのか。彼らは(というかおそらくほとんどの人間が)心の中に穴をもっていて、それを埋めるために他人を欲します。どんなに綺麗事を言おうと、恋愛なんて大概その程度のものだろうと、一般の恋愛ものでは決して言及しない真理をついてきます。

そして、お互い自分の穴を埋めるために欲し合うだけではその関係はいつかは破綻する。だから、自分の穴に向き合って、自分でそこを埋める、或いは相手の穴を埋めようと努力しなくてはいけないのだと、そうして大人になるべきなのだと、この作品は描いています。

恋愛にも成長にも、誰にでもあてはまる正解はない。彼らのそれぞれの選択は、そういう前向きな結論を提示してくれました。

自分としてはいまだにバイブル的な存在のBL漫画です。

コメントを残す

コメントを投稿するにはログインしてください。

サブコンテンツ

このページの先頭へ