漆原友紀『蟲師』8 ⑩

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子どもの頃。陽吉さんはよく里の同年代の子供たちと遊んでいました。そんななか、アカネという少女がふいと消えてしまったんだそうです。神隠しのように、黄昏時に。アカネと入れ変わるように山で見つかったのが、みかげさんだったと。みかげさんはどこから来たのかも何も覚えておらず、最初は里の人は皆不審がっていたけれども、アカネの両親が引き取ることにしました。

陽吉さんやアカネの家族とも最初は打ち解けられず、「アカネの代わり」と認識していたみかげも、時を経るごとにみかげとして里に馴染み、自然と陽吉さんと夫婦になったそうです。そんな彼女が、今になって「帰らなくちゃ」と言うということは、もしかして記憶が戻って、生まれた里へと帰りたいと思っているのではないかと陽吉さんは心配していたんですね。

 

ここでギンコ解説員。どうやらやっぱり蟲の仕業っぽいです。笑

人の影をした蟲。影を踏んだ者を取り込むというもの。おそらくみかげさんは生まれた里でそれを踏み、蟲として放浪していたところを、アカネが踏んで入れ替わったのだろうと。もちろん、それは確かめる術のない、正体不明に近い蟲なのだそうですが、現象としてはそれに似ていますね。

 

その話をうっかり聞いたみかげさんが、一部の記憶を思い出します。それは、自分が影になっていたときの記憶。アカネと呼ばれる少女に近づいて、影を踏んでもらった記憶。

 

それを思い出して、みかげさんは自分を追いつめてしまいます。自分が陽吉さんやお父さんからアカネちゃんを奪ったのだと。自分はここにいてはいけない人間だったのだと。そのまま泣きながら山へと入ってしまいます。

 

いなくなったみかげさんを探して、ギンコと陽吉さんも山に入って、運よくみかげさんを見つけます。「帰りたいのか。もうここにいたくないのか」と問いかける陽吉さんに「ここにいたいけど、いてもいいのか」と問うみかげさん。

 

アカネちゃんという一人の人間の生を犠牲にして生きている二人ですが、それでも二人は出会えて幸せだったと思う。許されないことかもしれないけど、それでもどうしようもないほど幸せなのだと。

 

それから二人は、数年後にみかげさんが流行り病で亡くなるまで仲睦まじく暮らしたんだそうです。そんなギンコのモノローグで終わるのかと思いきや。

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