漆原友紀『蟲師』8 ⑥

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「日照る雨」

マンガもとてもよかったけど、アニメでの絵がすごすぎた今回のお話。アニメでは第一期の「雨がくる虹がたつ」の虹郎のお話と対になっているそうです。対の話では虹蛇というながれもの、と言われる限りなく自然現象に近い蟲のお話でしたが、今回もそのながれもののお話。

主人公はテルという、一人で旅をしている女性。その女性と雨を降らせるアメフラシのお話

 

冒頭。夏の日照りに困っている里の人に「雨を占ってさしあげましょうか」と声をかける女性。その女性が数日の後に雨が降ると告げれば、その通り。恵みの雨が降るという描写から始まるのですが、アニメでの雨の描き方がすごい。水の描き方がすごい。こんな風に雨を感じることができる人がいるのだろうか、というほど。

 

場面は変わりギンコ。照り照りの空の下、水を求めて放浪中。見た目からしても、ギンコは夏の暑さに弱そうな印象。笑

 

ギンコが通りかかった里で、雨乞いをする一人の旅の女性を見かける。そこでも女性は数日後に雨が降る、と告げる。現実主義のギンコは珍しいな、と本当に雨が降るのか見届けることにするんですね。しかし、女性とすれ違う際に、「雨の匂いがする」という。女性に雨が住んでいるような不思議な印象。きれい。

 

女性は幼い頃、アメフラシという蟲に偶然寄生された。その結果、彼女の周囲では雨が絶えないようになった。そのせいで弟も失い、里も失い、定住することもできなくなった彼女は、幼い頃からずっと一人で生きてきた様子。かなり暗い彼女ですが、その生い立ちからすれば、それは至極当然のことのようにも思います。彼女の絶望たるや。

 

しかも彼女の絶望を深くさせているのは、ギンコが立ち寄ったその里に、想い人がいるからなんですね。定住を求める彼に、「夫婦になる気は無い」と冷たくあしらうのも、彼を想ってなんでしょうねえ。つらい。優しい彼女の気持ちが垣間見れます。

 

しかし、どうやら今回は勝手が違う様子。数日経っても雨は降らない。待ち続けているとき、ついに想い人である男性が倒れてしまいます。弟を失ったときのような感覚に陥ってしまうテルですが、間一髪のところで雨が降り出します。

 

里の人が喜ぶなか、彼女は早々に里を発ちます。そこでギンコに話しかけられ、読者はようやくギンコさんによって蟲の解説をうけます。笑

 

雨が降るのが遅れたのは、彼女に寄生するアメフラシの力が徐々に弱まっているからだそうです。いずれ、どこかに住むことができるさ、と述べるギンコ。暗い彼女の顔に、それでもあんたは蟲と上手くやってきた。それはもう、辛いだけのものじゃないはずだ。と言います。

 

その言葉にハッとするテルが振り返れば、彼女の思い人が意識を取り戻して彼女に「また絶対来いよな」と手を振っていました。

 

蟲と共生することで得られたものの多さ。得られる笑顔。そうしたものを受け止めて長めながら、蟲がいなくなるその日まで、生きていこうとする彼女の最後の姿勢に涙。涙。

 

しかし、彼女になんともなく言ったギンコですが、ギンコの体質や生い立ちのことなど考えれば、さらに重みが増しますね。。。

 

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