漆原友紀『蟲師』8 ① 

51lsMUMP1EL._SX347_BO1,204,203,200_[1]

「潮わく谷」

 

蟲師8巻!潮わく谷は、ギンコのおせっかい焼きが出たものの、結局はギンコはやはり深く介入することがなかったお話。それでも初期の頃より時系列的に経っているのか、色々とギンコの対応にも変化があったように感じた回でした。

 

冒頭、初っぱなから死にかけているギンコ。いつも静かに山を歩いているギンコですが、やはり人のいない山を一人旅する、というのはギンコのいうように死と隣り合わせなのですね。彼は明日の死を軽く笑い話に乗せるような印象ですが、本当にそんな感じなのか、と思い知る冒頭。前置きなく雪の山の洞窟で弱っているギンコ。わお。

どうやら足を痛めて動けなくなり、おまけに雪が降ってきてほっといたら死ぬような状態になっていた様子。そこにがたいのいい大きな男性が通りかかって、家まで連れ帰ってくれました。運が強い。さすが、何度も死にかけながら生き延びた男、ギンコ。

 

ギンコが目を覚ましたときにいた家は、まさに桃源郷のような優しく、冬にもかかわらず暖かな雰囲気に包まれた場所。作中でもいろんな人々が出てきましたが、この家の者は食にも困っていない様子で、子供達はたくさんいて、皆元気に育っていて、その子達が旅人のギンコに怖れることなく笑う様は本当に和むもの。子供達の笑い声、冬にもかかわらずたくさんの野菜を膳にのせた食事。

 

そして。子供が外に出る瞬間。一瞬のその間に垣間見えた、冬であるはずの外に青々と茂った稲穂。

 

家族はギンコを助けた男とその妻と子供、そして男の父の構成。全員優しく、おおらかで笑い声の絶えぬ幸せな家族。ギンコも優しい空気に、心身共に癒やされている様子。しかし男はあまり家に帰らず、深夜も休むことなく畑仕事をしている。男に礼を言うために外に出たギンコが見たのは。

 

その家が建つ山肌の棚田に茂る、青々とした稲穂。冬にもかかわらず、夏のように緑を伸ばす野菜。雪のない土。驚いたギンコは、死にかけた自分が見ている夢か、と一瞬疑うほど。でも夢でないのは、頬をつねらずとも、遠くの山は雪に覆われていることからも一目瞭然。この家の建つ山肌だけが、なぜか豊穣。この場面。マンガもそうですが、アニメだと圧巻。青々とした風景の向こう、寒々とした暗い雪山がそびえている様は蟲師だからこその風景。きれい。ちょーきれい。

コメントを残す

コメントを投稿するにはログインしてください。

サブコンテンツ

このページの先頭へ