漆原友紀『蟲師』5 ④

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「篝野行」

今回は初?の女蟲師(あ、ヌイもそうか)の登場です。ギンコと女蟲師、野萩の対比が際立った物語でした。

 

里の外部の人間であるギンコ。里に住む蟲師の野萩。考え方が正反対の双方。奇しくも男と女、ということや、置かれた立場の全く対比となっていました。

 

そしてどちらの意見も良い所、悪いところがあるように思えた今回のお話。どちらも正しいし、どちらも難しい考えだったように思います。

 

新種の蟲の話を聞いて、とある里を訪れたギンコ。そこで新種の蟲対策をしていたのは、ギンコも知る有名な蟲師、野萩。会ってみればなんと若い女性ということで「すごいなー」と感心するギンコ。最初、無邪気なギンコに対して、冷めた態度で接する野萩。

 

それはどうやら新種の蟲のせいらしい。溶岩石から出てきた草の形をした新種の蟲が山の木々を枯らし、増殖中。里のはずれにも広がりつつある冬の初め。これでは里が死んでしまう、ということで明日には山ごと蟲を焼き払うという。

 

それではリスクが大きすぎる。犠牲が大きすぎると「冷静になれ」と止めるギンコに対し、野萩はこれ以上は待てない、と里の人たちと一緒に火をつけます。

 

里の人たちと野萩をとめようとするギンコの台詞が…。相変わらずえぐい。ドストレート剛速球。「おびえたサルの群れ」て。あんた。

 

案の定、里の人に殴られて小屋にぽいされたギンコ。ようやく「言い過ぎたか」と反省。彼も案外、冷静じゃなかったのかもしれません。

 

一方、火をつけられた草は全て燃えたが、そこから「篝火」という蟲が発生。どうやら草は篝火の幼生だった模様。篝火対策に追われるも、「篝火なら対処できる」と言う野萩に「無理はするな」と言い置いて去るギンコ。

 

しかし、数か月後、野萩に頼みがあると言われて再びギンコが里を訪れると、里の者数人が篝火によって命を落としていた。篝火は終息しつつある。しかし、蟲との戦いはまだ残っている。だから、あの時冷静な判断を下していたギンコに、里の後を頼むと野萩は言います。

 

彼女曰く、篝火を体内に取り込んでしまい、自分ももう長くはないと。葉を吐くようになった自分の体からはいずれ、かつて里山を枯らした蟲が出てくるだろうから、だれもいない山奥深くへ死ににいくのだと。

 

とんでもない頼みごとです。それに対してギンコは間髪入れず断ります。

 

「あんたらが始めた戦いだ」

 

だから、最後まで戦い抜けと。それに、自分も里の人間だったら同じようにできたかは分からない、と。

 

そして野萩に篝火で炊いたお湯を飲めばもしかしたら、体内の篝火を弱らせることができるかも、と提案します。試してみたところ、体内の臓腑もろとも、篝火が焼けている模様。少しずつ、それで篝火を抑制し、共生して、野萩には里で戦い続けることを諭すギンコ。

 

今回、ギンコがめっちゃ厳しい態度で終始いたような回でした。

ですが、一流の蟲師である野萩を思うのなら、これはある種当然の態度なのかもしれない、と思いました。ある意味、ギンコらしい。

 

焦って近道を選ぶことなく、長旅でしんどいものでも確実に蟲も人間も安全に共生できる道を選ぶギンコ。今回見ていて、それがどれほど覚悟のいるもので、最も険しい道なのか、ということを感じました。

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