漆原友紀『蟲師』4 ②

517F71VBD7L._SL500_AA300_[1]

「一夜橋」

今回の蟲師のお話。第一巻で収録されていた「枕小路」、第二巻の「山ねむる」と同じく、珍しく登場人物が死んでしまうお話でした。

特に今回は「枕小路」と一緒で、救いようのないやりきれない雰囲気が濃厚で、読後感がとっても割り切れない複雑なものとなりました。

しかもお話の構成などがまた、とても良かったので余計にいたたまれない……涙

 

今回のお話、漆原さんは四国のかずら橋に感動して書かれたんですってね。確かに、今回ギンコが呼ばれた里へ向う唯一の道であったその橋は、一目見ただけで「あ、かずら橋だ」って分かるものでした。笑

 

ギンコが呼ばれたのは、とある娘の治療のため。ある日、橋から谷底へと落ちてしまったものの、生きて戻った娘が、まるで人形のようにぼうっとして、会話もすることがないのだという。しかもそれが三年も続いているのだと。

 

その娘、ハナが谷底に落ちたのは、ゼンという青年が関わっていることを知るギンコ。ゼン曰く、里の外で縁談が決まったハナと駆け落ちしようとして二人で橋を渡ろうとしたところハナが古くなった橋で足を滑らして滑落してしまったという。その後、ハナは人形のような状態であったけれども生きて戻ったので、ゼンが村に居続けているが、村人はゼンを村八分にして、ハナに近づかないようにしているのだそうです。

 

ゼンにその話を聞き、谷底へ案内してもらうギンコ。そしてそこにニセカズラという蟲を見つけて、ハナの状況を悟ります。ギンコ曰く、ハナは既に死んでいて、なかにはニセカズラが寄生しているのだそうです。谷底で日の光があまり届かないため、ニセカズラは動物の死体に寄生して、エネルギーを蓄えているという。そして二十年に一度、エネルギー充電満タンになったニセカズラは一斉に谷の向こう側へ橋を作って渡るのだという。

 

それが、里に伝わる「一夜橋」の正体であるという。

 

つまりは、ハナは既に死んでいて、今年中に一夜橋ができるとすると、そのときに寄生している蟲が抜けて、ハナの身体も死んでしまうだろうと。

 

何とつらいお話ですか……って思っていたら、何とギンコが訪れたその日、ハナは死んでしまった。つまり、その日に一夜橋がかかる。

 

結局、里の者に橋を落とされて帰るに帰れなかったギンコは、その一夜橋を使って里から出るんですが……。

 

ハナを失ったゼンもまた、一緒に行こうとします。だけど、ニセカズラを踏み抜いて行くことはできない、ハナを忘れられない、と躊躇してしまい、彼は谷底へと落ちてしまいます。

 

その後、ギンコも彼の行方を知らないと語りますが……。

おそらくは、ハナのように、また寄生されて谷底から帰るのだろうと言って話は終わります。

 

村八分にされて、里の人から全く求められなかった青年が、死してまた里に戻ったとして彼はいったいどうなるのでしょうか。次の橋がかかるのは二十年後。人には長い時間です。

 

つらいなあ。。。

 

精神は死んでも、身体だけでも生きているハナを、各々「生きている」と接するゼンと、家族とギンコ。それぞれの感情がまた切ない回でした。

 

人は、やはり身体が生きていれば、その人を死んだものとして扱えませんよね。。。。脳死のこととか、色々考えました。。。。

コメントを残す

コメントを投稿するにはログインしてください。

サブコンテンツ

このページの先頭へ