漆原友紀『蟲師』3 ⑥

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「眇の魚」

 

第三巻最終話。色々と衝撃的なお話。。。

あれ?ギンコ出て来ないな……とか思っていたら、白い髪に緑の瞳の女の人が出てくるではありませんか!しかも白い体に緑の片目しかない魚まで出てくる始末……。

 

ああ、これはギンコの姿かたちに関わる話だ!と気づいてようやく、ヨキという少年がギンコの幼少期なのだとわかりました(遅い)。

 

母と二人で旅の行商をしていたヨキ。昔から蟲が見える性質だったようですが、その正体がなにか、ということは知らなかったのですね。土砂崩れに巻き込まれ、唯一の肉親である母親を亡くして、本当の一人ぼっちになってしまったヨキ。行き倒れていたところを助けたのが、ヌイという白い髪に片目の緑の瞳を持つ女性だったと。

 

ヌイもまた、一人ぼっち。最初一瞬、男の人かと思いましたが……。驚くほどヌイに笑顔がない。笑

蟲を「怖がることはない」とヨキに教え、彼を助けるあたり、心根の優しい女性なのでしょうね。ヌイが山のなかで一人住む小屋のほとりには、夜に光る沼がある。その光にあたりすぎると、沼の魚やヌイのように姿かたちが変わるので、ヨキにはあまり夜に沼に近寄るなと釘を差すヌイ。

 

最初はヌイに警戒心を頂いていたヨキですが、たった一人ぼっちの寂しさ、心細さからヌイの傍に居続けようとします。ヌイもまた、「早く出て行っとくれ」と言いながらも、ヨキとの時間を楽しむようになっている模様。

 

蟲を寄せる体質だというヌイが蟲煙草を吸っているのを見て、ヨキが吸いたがるところのやりとりなんて心温まる場面ですね。ヌイも笑っている。。。。涙

 

ヌイの傍にいたいと言うヨキに対して、出ていけと突き放すヌイ。それは、沼に住む「常闇」という蟲、そして常闇に住む、「銀蟲」という蟲のせいだという。

 

ヌイの抱く闇と暗い過去が壮絶すぎてすごい、、、

 

色んな人が今まで出てきましたが、ヌイの過去はなかなか群を抜いて壮絶です。そして、とてもさみしくて悲しくてつらい。それでも「怖れや怒りに目を惑わされるな」というヌイはすごい、、、「それぞれがあるようにあるだけ」という『蟲師』のメッセージの重みが伝わります。こんな風に思える人なんてほとんどいないぞ。すさまじいメッセージだ。

 

そしてそんなこんなで、ヌイが常闇になってしまい、そしてヨキは銀蟲に片目を奪われ、白化する。

 

常闇に飲まれかけたヨキが助かるために、ヌイの教えにしたがって、その名前と記憶と引き換えに元の世界に戻ります。

 

そしてヨキは死に、ギンコが生まれたんですね。

 

もはやヌイの記憶は誰も持たない。何もなかったかのようになる。ヨキもまた同じ。そのことが何とも言えず悲しい。

 

そしてギンコ。それ以前の記憶を持たないギンコ。これは……なんてすさまじい過去なのだろうと思います。『蟲師』はとても静かで、ギンコも感情が豊かなキャラではないので想像でしかないですが、、、これはとても一人の人に耐えられる過去ではないようにも思いました。

 

この少年がどうやってあの飄々と蟲研究好きの蟲師になるのか。良い育ち方をしたもんです……涙。

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