漆原友紀『蟲師』2 ⑤

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「綿胞子」

こちらの物語は、蟲の生態もそうですが、蟲に関わった人の感情、そしてギンコの蟲師として、人としての考え方に唸らされた回でした。

 

ギンコがその家を初めて訪ねて、その事実を聞く、という回想シーンから始まります。回想シーンでギンコが夫婦に問うた言葉が重い。

 

「この子、生まれた時ヒトの姿をしていましたか……?」

 

旦那さんが語るその子の生まれたときの有様は、正直なところグロテスクすぎて……。ヘドロ状のモノが生まれてきて、床下に逃げ込んだ。なんて実際にあったらもう……恐ろしすぎますよ。

 

その一年後、床下に突如現れた赤子。妻はその子を「自分たち」の子だと育てていきます。その子の外見的な成長は驚く早いにもかかわらず、言葉も発せず、頭の中は赤子のまま。まるで人間とは違う成長の様でありながらも、容姿は自分たち夫婦に似ている、ということで情も移りつつあり、普通の家族として暮らしていた頃、また床下に赤子が現れた――。

 

そうして子供はどんどん生じてきた。妻は全て我が子としてかわいがっていた。そんなときに、一番最初の子供に、緑の発疹ができ、動けなくなっていった。そしてその子を助けてもらうために、ギンコを呼んだという。

 

ギンコ曰く、それは「綿吐」という蟲。妊婦の卵子に寄生し、子供を殺して自らが出てくるとき、床下か天井裏に逃げ込んで、一年後にヒトの姿をした「人茸」を人の親に送り込む。そうして育ててもらって栄養分を床下の根っこに注いでいくのだと。

 

想像を絶するほど、人間にとっては厄介でヤバイ蟲です。今まで出てきたなかではダントツでヤバイんじゃないでしょうか。

 

蟲師の間では、それが「綿吐」と分かればすぐに「人茸」全てを殺して根っこも根絶やしに殺してきたという。「人茸」が緑の発疹をまといはじめたら、それは「人茸」の寿命が近いとき。そのまま壊死するが、そのとき大量の胞子をまき散らす。それを防ぐために、「人茸」は必ず殺されてきたと。

 

ギンコも迷いなく、一番上の子供を殺します。

 

蟲とはいえ、人の姿をした子供を薬で殺すギンコ、という絵はなかなかしんどいものがあります。

 

そのときにギンコが「恨んで……いいのにな」と言った言葉が印象的でした。

 

蟲師として当然だということを、迷いなく行うものの、そこには蟲に対する情が垣間見える。

 

しかし、夫婦がどうしても他の子たちには手を出さないで欲しい、という言葉に「分からないものも皆殺しってのは大雑把で好きじゃない」と承諾するあたり、優しい。でも、かなり危ない橋でもあるんだろうな、とも思いましたけど。でも、優しいし、残酷。

 

旦那さんが手を出さないでくれとギンコに頭を下げ、

 

「ちゃんと俺がたねを吐く前に……殺してみせるから……」

 

というのは壮絶すぎる言葉です。どんなにそれが辛いことか。

 

あ、長くなりそう。今回は思うところが多すぎて長くなります。前半と後半にわけて感想を述べたいと思います!ではまた明日!

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