漆原友紀『蟲師』1 ⑤

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「瞼の光」

こちら、漆原さんの受賞作「蟲師」。コミックスに収録するにあたって「瞼の光」と題名が付されました。アニメでは、こちらは第二話にあたりますね。作者曰く、話の展開がおかしいとのことですが、アニメを見たときは全くそんな風には思いませんでした。むしろ、ギンコの身体的特徴の不思議に少し迫る回だったので、「緑の座」で『蟲師』の世界観に引き込まれたあと、第二話の「瞼の光」でギンコの謎に引き込まれた、という感じでとっても面白かったですが。

 

コミックスの方は、受賞作ということでまだ『蟲師』の世界観が定まっていないのか、雰囲気はそのままですが、ギンコの風貌やビキの格好などに揺れがありますね。

 

ギンコ、まるでサンジのようです。笑 ヒゲはえてるよ!!おっさんだな!!笑

 

そして作者の言うとおり、ズボンが変。笑

 

ギンコは飾らないナチュラルな風貌の、ロングコートの似合うかっこよさがありますが、こちらのギンコはスマートなかっこよさが……。なんだかチャラい印象なんですけど。笑

 

そして『蟲師』では何故か洋装はギンコしかいませんが、こちらはビキも洋装ですね。それにしてもギンコが洋装って何でなんだろう。まあ、着物より似合うけどね。うん。

 

さてさて、眼を蟲に寄生されたスイという少女。それを助けるギンコ氏。ふたつめの瞼を閉じた場所にある光の川。そこで、人は会うことができるんですね。

 

不思議世界。。。。

 

スイの眼に住んでいる蟲をおびき寄せて駆除した後、光の川を見過ぎて闇に飲まれたスイの眼に義眼をあげるギンコ。

 

短編の連なりの『蟲師』では、時系列がいまいちつかみにくいですが、ギンコがスイに義眼をあげた後、彼の右眼はどうなったんでしょうね。真っ暗な闇のままなのかしら。

 

それにしても。

 

スイに光の川を見過ぎるな、と言いつつも、二つ目の瞼を閉じた場所へと行くギンコが印象的でした。

物語の最後、ビキは義眼によって再び光を得たスイを「暗闇の中であの不思議な光に魅せられることもないだろう」と言います。

光を失い孤独の暗闇にいたスイ。しかし、光を得て、再び鮮やかで賑やかな世界へと戻ったとき、彼女は最早、足下に流れる光の川や命の根源に思いをはせる必要はなくなる。彼女の生きる場所はそこではない、と。生きる人間はその場所に居る者ではない、と。

 

そう括られた後。

 

ギンコが山の中でひとり、二つ目の瞼を閉じるのはいったい何を表しているのでしょうか。スイのように光を見るでもなく、川に背を向けて。それでも彼は二つ目の瞼を閉じる。

 

この表現を初めてアニメで見たとき、私はギンコが蟲師として蟲と距離を保ちつつも。それらを受け容れて、それと共に居るように思いました。蟲=孤独、暗闇だとしたら、人間=スイはそこに居るべきではなく、実際にそこにいることもできないのだけど。ギンコはそこに背を向けながらも歩み寄る。孤独や暗闇の世界にも、彼は歩み寄っている。それは、彼が絶対的な孤独を持っているからなのか。それとも、彼が暗闇の中にいたいと望むからなのか。(いや、そうではないか。彼はその体質故に、そうならざるを得ないのか。)

 

ただ感じたことは、きっとギンコは蟲の存在に苦しめられもしたけど、それらが世にあることで、心が救われているのではないのでしょうか。

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