漆原友紀『蟲師』一 ③

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第二話「柔らかい角」

蟲師、第一巻第二話。蟲師のお話は一話完結がほとんどですが、とても奥の深い、優しいお話がほとんど。普通なら二話ずつ感想を書きますが、蟲師に関しては一話ずつの感想を。コミックとアニメとあわせて感想を書けたらいいですね。

 

コミックの第二話は、アニメだと第三話で描かれた「柔らかい角」。このお話、アニメではとっても音楽がもの悲しくもキレイで、真火の声や動きがとってもとっても可愛くて大好きなひとつなんです。

 

コミックでも、真火の愛らしさは変わらず!!笑

 

村長の白沢というおばあさんに蟲師として呼ばれたギンコ。冬の底にひっそりとたたずむ、山深い山村。雪が音を吸収するのに比例して、冬の底にあるこの里も静寂が満たしている様子。

 

しかしその静寂ゆえに、耳を病む者がいる、と。片耳を患う者がほとんどで、片方の耳が音を拾わなくなってしまったと。

 

ギンコは蟲師道具で患者を診、すぐにそれが呍という蟲の仕業であることを突き止めます。お湯に塩を混ぜ、患者の耳に流し込めば……。

 

「これこの通り」

 

コミックを見ているとギンコがワンピースのサンジに見える……。最終巻あたりでは、アニメと同じくまさに「ギンコ」になっていますが笑

 

しかしギンコ。悪い人ではないし、むしろ好人物なんですが、どこか胡散臭さがあるのは何故だ。笑

 

里の患者を治したものの、浮かない顔の白沢ばあちゃん。彼女の孫が、両耳を病んでしまっていると。

 

額から四本の角がはえ、そこから大きなとどろくような、ささやくような音が入ってきていると。音の洪水に悩まされている孫、それが真火。

 

同じ病で母親を亡くしたが故に、幼い子供なのにとても物静かで悲しげな表情をしています。

 

緑の座のしんらもそうでしたが、蟲師に出てくる子供(というか、子供多いな)はなんだか物静かで言葉が豊か。笑

 

しんらも、真火も裕福そうな家の子なので、よく文字を読むのかもしれません。

 

そして印象的だな、と感じたのはギンコがどれほど幼い子供に対しても、同等の立場から語りかけていること。子供だから、という風に大人然とした態度で接するのでもなく、自然体で接する様は、なんだかとても好印象。笑

 

素敵な接し方です。

 

治療法の見つかっていない、真火の耳に住む「阿」という蟲。患者は真火の母のように、次の冬の終わりに死んでしまう。だとすれば、真火も雪がとける頃には、死んでしまうかもしれない。

 

真火の治療法を考えるギンコ。わざわざ家の屋根の上で……寒い中考えなくてもいいのに。笑

そんな変なところで考え中のギンコを見つけて、真火もびっくり。なにこれ、可愛い。

 

しかし、気分転換にと外出した真火は雪が降ってきても帰ってこない。心配するばあちゃんに「探してきまーす」と言い置いてでかけるギンコ。アニメ見ても思いましたが、ギンコはなかなか逃げ上手。笑

 

真火を探している途中に、治療法を考えつくギンコ。

 

それを、真火が避難していた洞窟にめっちゃいた「阿」と「呍」に自分から近づき、「阿」を自らに寄生することで試してみる。

 

なんか、なんともない風に描いているけど、これよく考えたらめっちゃとんでもないことギンコはしてますよね。治療法の見つかっていない、死を招く病の治療法を、自ら試してみるとは……。確信はあったんでしょうが…それでもなかなか出来ない事。

 

病を治した真火と分かれる際、真火に生えていた角を報酬と受けとったにもかかわらず、うち二本を真火に返すあたりも、なんだか心がほっこりしました。

 

「世界は静かだろう真火。慣れるまでは落ちつかないだろうし――断たれた世界を恋しく思う事もあるだろう。だがそれも春になって賑やかになれば忘れる」

 

と声をかけたギンコに対し、

 

「おれ忘れない。ずっと聞いてたんだ。母さんと同じ音……ぞっとするくらい、きれいな音……」

 

という真火の言葉もまた。とても。なんとも形容しがたい。

悲しみを乗り越えるのではなく、寄り添って受け止めて抱きしめていこうとするような……。

 

二話目にして、ギンコの性格の一端、そして蟲師の物語の優しく悲しい雰囲気が分かる物語でした。

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