穂積『さよならソルシエ』2 ①

 

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第7話「才能」

『さよならソルシエ』二巻、第7話では、フィンセントの才能について言及されました。美しいものを描く、という画家志望の青年達に対して、フィンセントの描くものは、人の悲しみや孤独など。美しいと思われるものばかりでなく、喜びのような明るい感情ばかりでなく、孤独、悲しみ、怒りといった負の部分も躊躇わずに描くフィンセント。

 

テオ曰く、それは彼に「怒り」の感情が欠如しているから。

 

だからこそ、フィンセントは世界が全て美しく見える。彼の目には、怒りも憎しみすらも美しく見える。そうして世界をあるがままに受け容れる様は、まさに神から与えられた「ギフト」、すなわち才能である、と。

 

神に選ばれたフィンセントの描く絵は、必ず人びとを救う。世界の人びとの心にいつまでも生き続けるものだ。テオは確信しています。だからこそ、アカデミーの絵画の現状を根底からくつがえし、テオの絵を世界に認められるように土台を作っている。

 

しかし、一方で当の本人はただの子供のように、赴くままに気分のままに絵を描くのみ。困っていた一人の男に対して、惜しげもなくその絵を与えようとする様に、テオは怒りを抱くほど。

 

「なぜ…たったひとりの作業夫のために絵を描こうとする……?」

 

「考えろよ!」と叫ぶものの、兄に対して笑顔を隠さぬテオドロス。

 

しかし、テオの血に塗れたフィンセントの描いた娼婦の絵。

 

兄弟の確執、というには深い何かが、この兄弟の間には横たわっていますね。

 

 

第8話「絶望と希望」

テオに対して報復をしようとするアカデミーのおじさん(名前忘れた)。

 

「人生において最も深い絶望は、おのれの死ではない。かけがえのない人間の死だ」

 

と笑う顔がとてつもない悪人顔!笑

 

そんなジェローム(おじさんの名前思いだした)の策謀によって、連れ去られるフィンセント。仲間からそのことを聞かされ、「放っておけ」と冷静に言うテオ。

 

「少女がさらわれたわけじゃあるまいしあれもいい大人だ。自分の身は自分で守るべきだ。大体どこの世界に弟に助けてもらう兄がいる。なんとかなるさ」

 

と言いつつ、フィンセントを助けに行く様が……。

 

これでフィンセントが女の子だったら完全にお姫様とツンデレ王子様のお話ができあがるのですが……笑

 

しかし、助けに向かったテオが起こした行動が、とっても斜め上!いや、殴られまくっていたフィンセントの底抜けの明るい笑顔も斜め上ですが、もう彼はそんな人だし!笑

 

「お前らが殺すくらいなら俺が殺る」

 

と実の兄に対して銃口を向ける弟。テオ大好きのフィンセント(というか、フィンセントにとって唯一の人がテオなんでしょうね)も、さすがに表情が固まる。

 

「兄さんの絵は世界を変えるんだ。でも駄目なんだよ。このままじゃ駄目なんだ。兄さんには画家として足りないものがある。怒りだ。怒りが兄さんの才能を本物にする。」

 

そう思うテオは笑顔のまま、銃口を自分へと向けます。死ぬのは自分だと。

 

自分が引き金を引くのが先か、それとも兄が覚醒するのが先か――。

 

絶望の底は希望へと繋がる唯一の道。

 

「きっと神が、俺達兄弟に与えた最初で最後のチャンスだ!!」

 

 

やはり、テオもまた機を読む天才です。天才画商。もはや鬼才とでも言うべき

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