槇えびし『天地明察』二 ②

281f8b49c2012c0a6f1de5e21bd70d24[1]

続きまして、本日二回目の投稿。

『天地明察』二巻の感想をいきましょう。

 

第六幕

今回は、道策が可愛過ぎた回でした。道策がなぜ、春海に執心しているのかということが明らかになりましたね。

まずは、順を追ってみていきましょう。

酒井様からご下命を賜った春海は、帰宅後すぐに準備にとりかかります。安藤さんにお伝えしたところ、北極出地は本来の目的ではないと。春海も勘付いていたんですね。土地の計測は、各藩が領民の年貢を計測する際に必要な数値。ならば、各藩が行うのが基本的な流れで、わざわざ幕府が動くことではない。

ならば、何かがあると。

春海曰く、「人材の吟味の場であるのではないでしょうか。」

なるほど。人材を吟味して託したい大きな仕事がなにかある、ということですね。

 

そして場面は変わり、碁打ち衆への報告。来年のお勤めが叶わないことを報告したうえで、上覧碁に間に合わぬということで、安井家の最良と思われる棋譜を出していくことを告げます。それは初手〝右辺星下〟の安井家秘蔵のもの。

春海なりに、自分を追ってきている道策へ託そうとしたんですね。春海なりの道策への誠意が現れています。

 

でもでも、そんなことで収まらないのが道策の勝負碁への熱意。春海への愛!(違う)

 

道策がこれほど春海に執心するのは、三年前、春海が師である道悦に勝利した棋譜を見てからなんですね。本因坊家の打ち筋を見抜き、道悦の打ち筋をふまえたうえで、それを乗りこえ自由に打つ二代目安井算哲。そんな算哲の打ち筋を、同じ碁打ち衆は「邪道」と評します。しかし、それは道悦にとっては「楽しい」もの。

 

自由に打つ二代目算哲に、師である道悦は敗けたのだと事実を受け止めた道策。そこから、春海に勝つことだけを考えて、日々研鑽してきたんですね。天才と評される道策のきっかけの人であり、熱意の源の人でもあるのが春海だったんです。

そりゃあその人が星ばっかり見てたら、、、

 

「この星が憎うございますッ」

 

そうなりますよね。でも春海もまた、決して道策から向けられる碁に対する熱意を疎ましく思っているのではなく、むしろ好意的に感じているのでしょうね。だから、彼には誠意をつくして自分なりに向き合おうとしているんでしょう。

囲碁を決して嫌いじゃなくて、むしろ「好きだよ」と答える春海。ずっとこの先おじいさんになっても道策との囲碁を打ち合う場所はある。そんな風に遠い未来を思い描けるほど、春海の居場所は囲碁にあるんですね。一巻でも言っていたように、そこは彼に生まれながらに与えられた「豊穣なる秋」の地なんでしょうね。そこで満足しきれていないにしろ、紛れもなくそこは春海の心の場所のようです。

最後、春海と道策が楽しそうに棋譜を眺めながら議論している様子は、とっても和みました。こんな仲間がいることに、春海はそれはそれで救われているんじゃないでしょうか。

 

 

 

コメントを残す

コメントを投稿するにはログインしてください。

サブコンテンツ

このページの先頭へ