槇えびし『天地明察』一 ③

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『天地明察』第一巻、最終話の感想です。

算術の天才、関という人物に会うため、何日間も江戸をうろちょろする春海。そんな春海が最後の望みをもって出向いたのが、算術の先生で有名な磯村氏の構える「磯村塾」。そこで初めて触れる、様々な人の算術の高め合いを目の当りにして、春海は興奮しています。門に貼り出された塾生同士の問題の出し合い、答え合いのなかに、「関」が答えた跡を見つけ、その張り紙の前に座して問の答えを説こうとしています。春海はどこまでも算術オタクなんですね。絵馬のときといい、夢中になると場所や時間を問わずにそこにのめり込むことのできるタイプの人の様です。

 

そんな春海を注意したのは、――絵馬の前で座していた春海を一括した少女――「えん」でした。

えんは春海を警戒していますが、磯村塾を任されている村瀬という男性は、春海の熱意とお土産に満足して、彼を屋敷のなかでの食事に誘います。

 

そこで男ばかりの生活をしていた春海は、えんに「ほわん」と惹かれている様子。20代の年相応の青年らしさがようやく見られましたね!算術バカすぎて恋愛のフラグも立たないのかと思いきや、ここでちょっとそんな雰囲気が…!えんさん可愛いですもんね!ちょっとはっきりすっきり、毒舌なところもありますが、気の強いところは当時の女性にしては欠点とされるのかもしれませんが、とても可愛らしい少女です。

 

しかし、なんだかえんさんは「関」さんがお好きな様子。。。

 

関さんは村瀬さん曰く、「化物」。

 

日々研鑽を積む塾生の解けぬ問題もすべて一瞥即解。

若手にして既に稿本を書いたような天才。「化物」。

 

そんな人物が、実は春海と同年代だということが知れました。

 

その事実の重さに春海は揺さぶられます。

囲碁の世界では感じられなかった感情。しかし、それは感じられなかったのではなく、「逃げていた」から。

 

「歓びや感動だけではない。悲痛や憤怒。己に対する歎きや怨み。名人と呼ばれる者達はそうした思いすら乗り越えて打ち勝つ筈。負けることを恥じる!己の至らなさを呪う!達したい境地に届かぬことを激しく怨む!!」

 

そうした精神的苦痛から逃れることをやめて、真に向き合うことを決めた春海。

ここから、彼の物語がはじまる。そんな一巻の終わりでした。

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